発達障がいは、脳機能の発達が関係する生まれつきの障がいです。発達障がいがある人は、コミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手です。また、その行動や態度は「自分勝手」とか「変わった人」「困った人」と誤解され、敬遠されることも少なくありません。それが、親のしつけや教育の問題ではなく、脳機能の障がいによるものだと理解すれば、周囲の人の接し方も変わってくるのではないでしょうか。
ここでは、発達障がいのある人を理解するために、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障がい、学習障がい、注意欠陥多動性障がいなど、主な発達障がいの特徴を紹介します。なお、発達障がいは、複数の障がいが重なって現われることもありますし、障がいの程度や年齢(発達段階)、生活環境などによっても症状は違ってきます。発達障がいは多様であることをご理解ください。
自閉症は、「言葉の発達の遅れ」「コミュニケーションの障がい」「対人関係・社会性の障がい」「パターン化した行動、こだわり」などの特徴をもつ障がいで、3歳までには何らかの症状がみられます。また、自閉症の人々の半数以上は知的障がいを伴いますが、知能に遅れがない高機能自閉症の人々もいます。最近では、症状が軽くても自閉症と同質の障がいがある場合、自閉症スペクトラムと呼ばれることがあります。
注意欠陥多動性障がい(AD/HD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、「集中できない(不注意)」「じっとしていられない(多動・多弁)」「考えるよりも先に動く(衝動的な行動)」などを特徴する発達障がいです。注意欠陥多動性障がいの特徴は、通常7歳以前に現われます。多動や不注意といった様子が目立つのは小・中学生ごろですが、思春期以降はこういった症状が目立たなくなるともいわれています。